心配して何度も声をかけてくるお母さんの顔もくたびれていて、痩せこけていた。


お兄ちゃんは家の中で私を見るけれど、声をかけてくることは一度もなかった。

何か言いたそうにしていたけれど、無言を貫いていた。



──“恥ずかしい奴……”


ある日の帰り道、下校途中のお兄ちゃんは、男子に石を投げられていた私に言ったのだ。

なんだって出来て、容姿も抜群なお兄ちゃんにとって、私の存在は迷惑だっただろう。


それからずっと私は部屋の中で過ごした。

外へ出なければ傷つけられることもない。


それと引き換えに、お母さんは頻繁に外へ
出ていくようになった。


部屋の窓から外を見た時、男の人と楽しそうに話しているお母さんがいた。


あんな風に笑っているお母さんの顔を見るのはいつぶりだろう……。


お母さんも嫌気がさしていただろう、こんな娘で。


同じ家にいるのに、お母さんと言葉を交わすことは滅多になかった。


情けない娘でごめんなさい。


嘆くことしか出来す、どうして私はこんな人間なんだろうかと自分を責め続けた。