──“沈めてもコイツなら不死身じゃね?”


──“これは星七ちゃんへの制裁なんだよ?”


いくつもの手に押さえつけられた小さい頃の私。

苦しい思い出が詰まった遠い日々の記憶が蘇る。

いつだって、忘れたくても過去は無遠慮に顔を出す。



「大丈夫か……?」



心配そうな虹くんの声にハッとして我に返る。



「……大丈夫……っ。ごめんね、私また迷惑かけて……」



まだ心臓がバクバクと激しく揺れている。



「そう思うんなら、俺の隣歩いてくれる?」



だけど、虹くんの声に落ち着きを取り戻し、素直に隣を歩いた。



「やっぱり知ってる顔だな──」



風が強く吹いたと同時、虹くんが何か言った気がした。



「え? 虹くん……今なにか言った?」


「……別に」



首を傾げても、虹くんはふいっと目を逸らして再び歩き出した。





「──そんなこと、あるわけないよな……」