「ホントに落ちそうだからこうしてんの」



なんか文句あんの?と……。


ううん、と首を振るのが精一杯。


……だって虹くんは、ズルいと思う。


素っ気ない態度なのに、虹くんはやっぱり優しいって思ってしまう。


虹くんが気になって、ドギマギしたまま歩いていたら、



「うわあぁぁぁ……っ!?」



私はやらかしたのだ。

ぬかるんだ場所に足をとられ、バランスを崩した。



「おい……っ」



キラキラ光るプールへと身体が傾いていく。


これはダメだ、落ちる……!


だけどその時、グイッと虹くんが私の腕を掴んだ。


間一髪、落下は免れた。


だけど、それはほんの一瞬だった。


ぐんっと縮まる距離。

虹くんと目が合って、私と虹くんはともに驚く。


まるで、何かを思い出したかのように、時間が止まる。