「……おい、そんな際どいとこ歩くなよ」


「大丈夫だよ!」



大嫌いな場所なのに、来た時よりもずいぶん心が軽い気がした。


私は裸足のまま、プールサイドの縁を歩いて出口へと向かっていた。



「お前が落ちそうになっても俺は助けてやらないから」



すでに虹くんはツーンとした口調に戻っていた。

海水よりもしょっぱいですね……。

でも、全然嫌じゃない。



「……っ、」



え……。

ふと、私はあることに気づいて顔だけを虹くんに向ける。



「……虹くん、じゃあこの手はなんですか?」



助けてやらないとか言ってたくせに、私の制服の裾をしっかり掴んでるこの手……。