「最初に寮長から声かけられて、寮長も黒田って苗字だったから、もしかしてって思ってさ。そんであんたにカマかけてみたってわけ」 「じゃあ、私のことを誰かから聞いたわけじゃないの……?」 「そーそー。聞いてない」 な、なんだ……。 私は心底ホッとして胸をなでおろした。 その直後…… 「──ただ」 机に身を乗り出して、深恵くんが私へ顔を近づけた。 「どっかで見覚えのある顔だとは思ってるよ?」 「っ、」 三日月のような目の形に捕らえられて、ドクンッと心臓が飛び出しそうになる。