「違う……! いや、違くない! けど今のは私の心の住人が勝手に……」



慌てて意味のわからないことを並べたけど、



「……もう手遅れだから。聞こえてる」


「っ、」


「だいたい心の住人って、それ本心ってことかよ」


「……そ、そういうことになります」



なに言ってるのよ、私は。

それ以上言い訳出来ず、恥ずかしくて顔が熱くなっていく。



「黒田のくせに不意打ちしないで?」


「っ、ご、ごめんなさいっ!!」



髪をくしゃりと握った虹くんの横顔に、何度もごめんねと謝罪を繰り返した。


でもひとつ言い返すなら、私だってそうだよ、虹くん。


虹くんに、心を動かされてしまいそうだ。


……それももちろん本音。


虹くんの顔を見て、言えるわけもないんだけど。