「口に出すのも嫌なのですが。
もしや、藤原は私より強いのでは……
いやいや、そんなことは」
そうぶつぶつ言いながら、指月は行ってしまった。
あの指月より強い女。
同意のもとでないとなにもできそうにないな。
この間みたいな不意打ちはもう効かないだろうし。
……いやいや、不意打ちでなにかしようと言うのではないのだが。
いやいや、ほんとに、と思いながら、夏菜が書いていった住所の紙と指月が作ってくれていた山の地図を見る。
危険な箇所に赤で×印がしてあるのだが。
「……多すぎだろ、×印」
と真っ赤になった山の地図を見ながら呟いた。



