今夜、あなたに復讐します

「でも、お香のお店で、店員さんに、どんなイメージの方に贈られるんですか?
と訊かれて、貴方、言ってましたよ。

『可愛くて、芯がある。
 それでいて一筋縄ではいかない感じ』って」

「……見たまんま言っただけだろ」

「意外と一目惚れだったんですかね?」

「殺されかけたのに一目惚れするとか、頭おかしいだろっ」

「おかしいんじゃないですかね?」

 指月は、しれっとそう言ってきた。

「と言いますか。
 あとで振り返ったら、頭おかしかったのかな? と思う言動をとってしまうのが、恋なんじゃないですかね?」

「そんな……っ」

 そんなんじゃない、と言う前に、指月は、さっさと
「では、失礼します」
と言って出て行ってしまっていた。