今夜、あなたに復讐します

「姉さんはお前に騙されてっ」

 いやいやいや、と指月と上林が無言で手を振る。

「ありえません。
 この方に限って」
と指月が言い、

「なさそうですよ。
 ものすごく不器用そうですから」
と上林が言った。

 指月は男に向かい、
「社長は、こう見えても、そういうことには不器用で、騙されることはあっても、騙すことはないと思いますよ」
とかばっているのか、失礼なのかわからないことを言う。

「社長は、そもそも女に興味がないので……

 ああいや、なかったので」
と何故か指月は言いかえた。

「女性同伴のパーティでも私を連れていくから、あらぬ噂が立って、私が困っていたくらいなのに」

 立ちそうだな……と夏菜は思う。