「だって、賞金的に僕の勝ちですよ。
 それ、何百円くらいしかしないでしょ?

 指月さんの小判が本物だったら、百万くらいとして。
 僕が三十万。

 社長は何百円。

 僕の準優勝です」

「どういう理屈だ」

 雪丸に言い負かされそうな有生が哀れになったのか、加藤が入浴剤を見ながら、
「それちょっと前ので今、売ってないから、プレミアムがついているかもしれませんよ」
とフォローを入れるように笑って言ってくる。

 そんなちょっと前の入浴剤、大丈夫なのか、と夏菜が思ったとき、入浴剤を見ていた有生が、あっ、と叫んだ。