今夜、あなたに復讐します

 ラグの上に引っ張り出してきたカップ麺を眺めながら、夏菜はふと呟いていた。

「不思議な感じです」

「……ん?」

「いえ、いつもは、みんなとお蕎麦食べたり、お酒呑んだり、お餅焼いたり。
 年越しは道場、大騒ぎなので。

 こんな風に静かな年越し、初めてなんです」

「寂しいか?」
と有生が訊いてくる。

「いいえ」
と夏菜が言うと、ラグの上に手をついた有生が自分を見つめたあとで、そっと口づけてきた。

 ……慣れないな、と夏菜は思っていた。

 社長に、こんな風に大事なものでも見るように見つめられて、やさしく触れてこられるとか。

 私、そんなことしてもらえるほどの人間じゃないです、と今でも思ってしまう。