「あー、寒かったですねー」
マンションに帰った夏菜はコートを脱ぎながら、
「なんだか小腹が空きましたね」
と笑って言った。
「前から思ってたんだが、小腹って何処なんだろうな」
と寒さのあまり頭が凍りついているのか、ちょっぴり間抜けなことを言いながらソファに腰掛けた有生が、
「そういえば、カップ麺があったな」
と言ってくる。
「あ、そうですね。
いろいろありますよ~。
年越し蕎麦食べたから、うどんとかラーメンの方がいいですかね?」
と夏菜はパントリーから白い不織布の大きな袋を引っ張り出してきた。
中にはカップ麺がたくさん入っている。
この間、スーパーで新商品をいろいろ買ってみたのだ。
カップ麺もいつも食べたら飽きるのだろうが、たまになので、すごく美味しく感じる。