今夜、あなたに復讐します

「……わかったんだ」
と囁いてくる有生に、

 え? ……は?
と動転した夏菜は、ちっともロマンティックでない間抜けな声を上げてしまう。

「お前を襲うときは素早く。
 敵と認識される前に」

 な、なに言ってんですか、と赤くなる夏菜に有生は訊いてきた。

「もういいよな?」

 な、なにがですかっ?

「広田も、黒木も元田も水原も、柴田も指月も、加藤さんもお前の爺さんも、謎のフェンシングの人も駅伝の人も忍者の人も認めてくれたから、もういいよな?」

 ど、何処まで訊いてきてるんですかっ。

 ていうか、まず私に今、訊いてくださいよ。

 いや、いいですとは言わないですけどね、ええ。

 ……恥ずかしいので、と照れながら思っていたのだが、有生は、
「お、そうか。
 お前には訊かなくていいんだったな」
と言いながら、夏菜を抱き上げた。

「だって、お前、自分で言ったじゃないか。
 正気になったら襲ってくださいって」

 いや、あれはですね~と赤くなる夏菜に有生は言う。

「俺は今日は呑んでない。
 正気だ。

 雪丸が刺客のように酒瓶を手に呑ませようとしてきたか、呑んでない」

 奥に向かって歩いていた有生はソファのところで足を止めたが、チラと開け放たれたままの窓を見、言ってくる。

「もう待てないから此処でいいかと思ったが、やめておくか」