「まあ、今日はマンションの方に帰ってふたりでゆっくりしなさい。
あちらの方が職場にも近いだろうし」
と頼久に言われ、有生と二人、マンションに戻っていた。
「あー、なんかどっと疲れましたねー」
と言いながら、有生が鍵を開けてくれた玄関に入った瞬間、夏菜は、
「ただいまー」
と無意識のうちに言っていた。
それを聞いた有生が振り返り、笑う。
「……もう俺たちの家だな」
「えっ?」
「このまま此処に住もうか」
「そ」
そうですね。
それでもいいですけど。
社長は別に家をお持ちなのでは……
なのでは……
なのでは……?
思考が途中で止まって同じところを繰り返してしまったのは、その先を考える前に、有生に顎をつかまれ、キスされていたからだ。
そのまま壁に押しつけられる。



