今夜、あなたに復讐します

 ま、まあ、いいか、と思ったとき、いつの間にか側に来ていた頼久が言った。

「やはりあの男で間違いなかったな。
 あの周りを巻き込み、上手く流れにのせる口車。

 人心を惹きつけるなにかを持っておる」

 これ、如何(いか)に人を煙に巻いて、人心を惑わすかっていう戦いだったんですかね……と思ったとき、有生がこちらにやってきた。

「そうそう。
 勝負はお前を負かした奴の勝ちだったな」

 夏菜、と呼びかけた有生が、少し笑い、額をこつん、と小突いてきた。

 た、倒れるべきかな、此処で。

 きゅうって。

 いや、どうやって、と赤くなりながらも小突かれた額に手をやり、後ろを振り返る。

 地べただ。

 せっかく加藤さんが用意してくれたドレスが汚れるっ。

 っていうか、もうすでに倒れるには遅すぎるっ。

 社長っ、すみませんっと思ったとき、有生が一歩前に進み出た。