今夜、あなたに復讐します

 いや、それは……と夏菜は赤くなった。

 戦う有生を見ながら、思い出していた。

 最初にフローズンなボトルをつかんで突っ込んでいったときのこと。

 社長と二人で本を読み耽《ふけ》った夜のこと。

 一緒にスーパーに行ったこと。

 100均グッスで料理したこと。

 ふたりでバルコニーから夜景を眺めたときのこと。

「……なんででしょう。
 走馬灯のように社長との思い出が蘇るんですが。

 私、死ぬんでしょうか」

 いや、違うでしょう、と黒木が苦笑いして言う。

 単に結婚という言葉に、有生との生活を思い起こしてしまっただけなのだろう。

 結婚とかまだよくわからないけど。

 この先ずっと一緒に誰かと暮らしていくのなら、あの人がいいな、とやっぱり思ってしまう。