今夜、あなたに復讐します

 だが、それを聞いた指月が、
「好きな女性を前に、社長も秘書もありませんっ」
と叫ぶ。

 おおーっとみんながどよめいたが。

 いや……、指月さん、この戦いの雰囲気に呑まれてるだけだと思うんですよね、と夏菜は思っていた。

「夏菜さん」
といつの間にか真横にいた黒木が言ってきた。

 わあ、びっくりした、と夏菜は振り向く。

女冥利(おんなみょうり)に尽きますね。
 あんないい男二人があなたのために戦うとか」

「いやー、どうなんでしょう。
 すでに私のことは眼中にないような……」

 いつの間にか夏菜の存在は忘れられ、男二人の戦いが始まり、格闘好きのお弟子さんたちもみな、そちらに集中している。

 男たちの熱気の伝わる庭の隅で黒木が訊いてくる。

「かなり白熱してますが。
 夏菜さんはどっちに勝って欲しいですか?」