庭に夜叉が現れた。
刀を持って。
やられる……っ!
と何故か全員が身構えてしまったが、その夜叉は不思議そうに、
「社長は……?」
と呟いていた。
「ま、まだです」
と夏菜が言うと、すごい気迫で来たわりにはその夜叉、指月は困ったような顔をする。
「本当に俺が社長に勝ってしまっていいのだろうか」
ど、どうでしょうね……と思ったとき、
「若が来ましたよっ」
と黒木の声がした。
振り返ると、飛ぶように速い有生が山を駆け下りてくるのが見えた。
その手にも得物がある。
この戦い。
よく死者が出なかったな……と思ったとき、苦悩しかけていた指月が敵の存在に反応して、戦闘モードに入った。
有生が来る前にと夏菜の腕を捉えようとする。
だが、夏菜は思わず、その手を手刀で止めていた。
「地獄の花嫁が参戦したぞっ」
何故、私まで地獄……っ、と思いながらも、夏菜は身構える。



