「……恐ろしい男だな。 一度も物理的な攻撃を使わずに、山を抜けようとしているぞ」 とモニターで有生を見ながら、耕史郎が言う。 「だが、その分、指月に出遅れたようだが」 えっ? と言いながら、夏菜は地獄のうさぎにまた注(そそ)がれていた酒を飲み干し、画面を見つめる。 だが、山の中にもう指月の姿はなかった。 「ほら、あそこに」 と耕史郎が指さしたのは、庭先だった。 刀を手にした指月が立っていた。