今夜、あなたに復讐します

「さすがはうさぎ。
 小賢(こざか)しく駆け抜けて此処まで来たようだが。

 所詮は、うさぎだからな。

 ……きっと寝るんだろうな、レースの最中に。

 余裕かまして寝るんだろうな。
 後ろからカメが追いついていることにも気づかずに。

 ……寝るんだろうな」

 寝るんだろうな……、と言い聞かせるように繰り返し呟く有生の手許で斧が光っていた。

 そこを凝視したまま固まっていた雪丸だったが、目を閉じて倒れる。

「ほう!
 やはり、うさぎだなっ。

 夏菜を狙う男はみな生かしてはおかないんだが。

 まあ……、うさぎだからいいか」

 そう呟きながら、有生は斧を振り振り、去っていったようだった。

 雪丸は倒れたまま、ぎゅっと目を閉じ、膝を抱えて、ぷるぷると震えていた。

 ……夜叉がいるっ!

 この山には夜叉がいるっ!

 しかも、きっと、もう一体いるっ!