ともかく、もうオッケーなんだよな。

 仕事の合間に有生はぼんやりとそんなことを考えていた。

 ……記憶にないとはいえ、俺はプロポーズし、夏菜は受けた。

 あとは弾みをつけるだけだ。

 黒木さんも認めてくれたことだし、と、

「えっ? 私にそんなだいそれた権限ありませんけどっ?」
と黒木が慌てそうなことを思う。

 ともかく、あのぼんやり娘。

 勢いに乗っているうちに説得しないと、なにかこのまま流されて、結婚しないままに共白髪(ともしらが)を迎えそうだ。

 と結納のときに持っていく白髪の老夫婦の人形を思い浮かべる。