今夜、あなたに復讐します

「ああいえ。
 指月さん、大丈夫ですか?

 酔ってないですか?」
と夏菜が自分を見上げ、訊いてくる。

 酔ってはいないが。
 此処は酔っているフリをした方がいいな。

 酔っ払いは、こんなとき、必ず酔っていないと言い張るものだから。
 俺もそう言うべきだな、と酔った頭で思いながら、指月は言った。

「いや、大丈夫だ。
 酔ってはいない」

「……そ、そうなんですか?」
と夏菜が苦笑いして言ってくる。

 そのとき、有生がこちらを見ているのに気がついた。

 こちらを窺う有生の顔が、らしくもなく、ちょっと不安げに見え、なんだかすごく悪いことをしてしまった気分になる。

 早足で夏菜から離れると、有生から少し遅れていた柴田に追いつき、話し出した。