今夜、あなたに復讐します




 ちょっと長くお風呂に入りすぎてしまいました、と思いながら、夏菜は縁側にしゃがみ、涼んでいた。

 風が頬にひんやりと気持ちいい。

 罠のたくさんある山の上の月をぼんやり見ていると、(かたわ)らに置いてあるスマホが鳴った。

『今、何処にいる?』
と有生からLINEが入っていた。

 広い屋敷なので、時折、こうしてお互いを見失う。

『縁側の真ん中辺りです』
と返したあとで、スタンプを入れようとして迷う。

 機嫌良さげなスタンプを送りたいのだが。

 今、送りたい感じのスタンプには、どれもハートマークがついている。

 いや、女同士で送り合うときには、特に気にならないんですけど。

 ……これを男の方に送るのは抵抗がありますね。

 ラブラブみたいではないですか。

 ちょうどいいスタンプがないので、ラブラブになってしまうとかおかしいですよ、と思いながら、夏菜はスマホを手に迷っていた。