今夜、あなたに復讐します

「何故だ」

「狙撃されるかもしれないじゃないですかっ」

 だが、有生は、ぷっと笑って、
「そういうのには狙われてない」
と言う。

「上林や雪丸やお前みたいに、俺を軽く一刺ししたら、スッキリするくらいの連中しかいない」

「わ、わからないじゃないですかっ。
 そういうショボい感じの暗殺者の方々も、何処かで、すごい武器(ウエポン)を手に入れてくるかもしれないし」

「……お前、今、上林と雪丸もいっしょくたにショボいと切ったな」

 早く早く、と衛星からも狙われているのではっ、という勢いで、夏菜は有生の背を押し、屋上から撤退させようとしたが、有生は笑って動かない。

「……ありがとう、夏菜。
 だが、俺は大丈夫だ」

「そんなこと言う人は、翌週には必ず()られてますよっ」

 うーん、と微動だにしない有生の背を押しながら夏菜はそう主張する。

「ドラマか」
と言ったあとで、有生は振り返り、ポンポンと夏菜の頭を叩いた。

「お前が心配してくれるだけで嬉しいよ。

 だが、部屋で二人きりもいいんだが。
 こういうところで、密会するのも悪くないなと今、思ってるところなのに」

 もうちょっと楽しませてくれ、と言ってくるので、夏菜は赤くなり、手を離した。