なんかどっと疲れたな。
っていうか、帰ってこなくてよかったのなら、また夏菜を連れて戻ろうか、と思いながら有生は庭で銀次や雪丸と話している夏菜を見る。
周りに他の建物がないので、夜は何処よりも暗く、星が綺麗だ。
山の上で瞬く星々を見上げたとき、夏菜が小さな植物を持ってやってきた。
アイビーのようだ。
「これ、銀次さんのおねえさんが挿し木して増やしたのをひとつ、いただいたんですよ。
素敵な鉢に入れたらいいかなと思うんですけどね」
と黒いビニールポットに入ったそれを見せながら、夏菜は言う。
ツルが元気にピンと持ち上がったアイビーを見ながら、
「……あの部屋の窓辺に置いたら素敵だな」
と夏菜が呟くのが聞こえてきた。
二人で二日暮らしたあのマンションのことのようだった。
もう自分の家のように思ってくれているのかなとちょっと嬉しくなる。
「でも、このアイビー、どんな鉢に植えましょうかね~?
今、いいのがないんですよね、買いに行かないと」
と呟きながら、夏菜は縁側の下を見ていた。
奥の方に今、使われていない鉢などがしまわれているようだった。
「あ、そうだ」
と夏菜は縁側の下をごそごそやり、可愛らしい、ころんとした丸い素焼きの鉢を取り出してきた。



