今夜、あなたに復讐します

「わかった。
 今週はキスまででいい。

 そうお前のジイさんにも報告しよう」

 いや、よく考えたら、キスは前にしているから、なにも進展していないことになるのだが。

 後退しなかっただけマシかと思ったとき、夏菜が言ってきた。

「わ、わざわざ報告するの、どうかと思いますけど」

 赤くなった夏菜の心は少しカンフーから遠ざかっているようだった。

 一歩近づいてみる。

 心がカンフーでない夏菜の反応が遅れた。

 反撃される恐れがあるので、肩には触れずに身を乗り出し、唇だけ触れて、キスをした。

 離れがたいが、攻撃を受ける前に逃げる。

 攻撃、退却、攻撃だ、と自らに言い聞かせながら、有生は充分な間合いをとってから言った。

「隙ありだな」

「な、なにが隙ありなんですかっ」
と夏菜はまた赤くなる。

 何処にも隙なんてありませんよっ、と叫ぶ姿も愛らしい。

 認めよう、と有生は思った。