何故、お兄さんがこれを持ってきたのか、ちょっとわかる気がする。
夏菜と並んでカンフー映画を見ながら有生はそう思っていた。
強敵と書いて『とも』と読むようなその映画を見て、夏菜は感動に涙をこらえている。
……これ、泣くような話だろうかな? と、ちょっと唐突な感じのするストーリーに思いながらも、夏菜のその涙をこらえる姿が愛らしく。
そして、その感動的な物語のせいか、夏菜との距離を詰めてみても、夏菜は逃げなかった。
なんとなく信頼できる誰かと見たい感じの映画だったからだろう。
肩が触れるくらいの位置まで来てみたが、夏菜は逃げない。
ありがとうっ、お兄さんっ。
いや、お兄様と呼ばせてくださいっ、と思いながら、一緒に見ているうちに、自分もハマって見ていた。



