今夜、あなたに復讐します

 夏菜の兄だから、やあ、お兄さんとか言うべきなのだろうか。

 っていうか、サインください、と耕史郎の本をずっと読んでいたせいで思ってしまう。

 扉を開けると、耕史郎はなにも言わずに、一枚のDVDをすっと差し出してきた。

 えっ? とそれを受け取ると、耕史郎は何故か有生の目を見つめ、こくりと頷いてくる。

 言わずともわかるな? というように。

 ぱたん、と扉が閉まった。

 ……なんなんですか、お兄さん、と思いながら、有生がパッケージを眺めていると、

「社長っ、誰ですかっ?
 まさか、刺客ですかっ?」
とようやく来客に気づいたらしい夏菜が慌ててやってくる。

「まあ、ある意味刺客だったな」
と昨日、甘い夜に持ち込めなかった責任を耕史郎に押しつけつつ、リビングに戻ったとき、改めてそのDVDを見た夏菜が、あっ、と言った。