そのあと、夏菜たちは、有生の部屋より三つ下のフロアにある兄の部屋に招かれていた。
ナチュラルテイストな有生の部屋とは違い、アーバンな感じだ。
夏菜はところどころがコンクリート打ちっぱなしになっている広いリビングを見回しながら思っていた。
祟りを恐れて、インドの山奥にでも籠っているか、香港で怪しい占い師のところにでもいるのかと思っていたのに。
こんなところで、こんな小洒落た生活してやがりましたか、と。
デザイナーズマンションなので、各部屋、構造に特徴があって、それぞれ違うので、中に入っても同じマンションだとは気づかなかったようだ。
もっとも、耕史郎は移り住んだあとで、かなり手を入れて自分好みに変えていたようなのだが。
大きな窓だけは有生の部屋と同じだ。
カーテンが閉められていないその窓からバルコニーの向こうの夜景を見ながら夏菜は言った。
「加藤さんはお兄様が此処に潜んでいるのをご存知だったのですね」
だから、有生が此処の住所を渡したとき、えっ? という顔をしたのだ。



