今夜、あなたに復讐します

「夏菜、お前、こんなところでなにしてるんだ?
 うちの部屋は、此処はひとつしかないよな?」
と上を見上げて兄、耕史郎(こうしろう)は呟く。

 ああ、と夏菜は手を打っていた。

「思い出しました。
 此処、うちの所有している部屋があるんでした。

 それで見たことあったんですよ、ロビーとか」

「……忘れるな」
と言ったが、どうも、子どもの頃にチラと覗いたことがあるだけだったようだ。

「誰だ、この男」
と耕史郎がこちらをチラと見て、妹に問う。

「あー、今、私が勤めている会社の御坂有生(みさか ゆうせい)社長です」
と、ちょっと説明に困りながら、夏菜が言うと、

「御坂っ?」
とはっとした耕史郎がこちらを睨んだ。

「そいつ、お前を殺そうとしている御坂の七代目じゃないかっ」

「いや、殺されるところだったのはお兄様ですよ。
 お兄様が逃亡したので、私に振り替えられただけなんですけど……」

「待て。
 俺は誰も祟り殺す予定はなかったからな」

 決定事項のように言うな、お前ら、
と反論する有生を指差しながら、耕史郎が夏菜を責め出した。