今夜、あなたに復讐します

 よく考えたら、強すぎる夏菜を彼女の同意なしにどうにかするのは、頼久が言う通り難しかったのだが、つい、そんな心配をしてしまう。

 そのとき、夏菜が空を見上げ、
「月が綺麗ですね~」
と言ってきた。

 なるほど。
 夏菜しか見えていなかったが、冬の澄んだ空には、まんまるな白い月が浮いていて、冴え冴えとした光を放っている。

 ……月が綺麗ですねというのは、貴方が好きですという意味だという俗説があるが。

 俺は今、告白されたのだろうか、と更に拡大解釈をする。

 それで、
「……そうだな。
 このまま何処までも歩いていきたい気分だな」
とこのときは調子良く言ったのだが。

 さすがに車でもかなりある距離を往復したら、マンションに着いたときには、どっと疲れていた。

 駄目だ。
 それでなくとも、夏菜との力の差はほぼないというのに。

 これでは押し倒せないっ。