「大根おろしも美味しいですよ」
食事が少し進んだ頃、なめこと和えた大根おろしを持って、ふたたび現れた加藤に、有生が、
「すみません。
早くにご連絡しようと思ってたんですが、うっかりしてて」
と言いながら、週末住むことに決めたマンションの住所を手渡していた。
加藤は、あー、はいはい、と笑いながら、それを見たが、一瞬、止まる。
「……はは、そうですか」
と言ったあとで、それを畳んで、ポケットに入れていた。
「では、頼久様にもお伝えしておきますね」
と言って、いなくなる。
絶妙なダシ加減のすまし汁を飲みながら、チラ、と夏菜が有生を見ると、有生もチラと目だけを動かし、こちらを見る。
今なにか妙な間がありましたよね?
そうだな。
なにかおかしかったな、と目だけで会話した。
そんな風にできるのは、今日一日、100円グッズについて語り合ったり、励まし合いながら共に此処まで走ってきたりした成果だろうか。
そう思いながら夏菜たちは食事を終えた。



