ひい~っ。
追ってくるっ!
何故っ?
殺しにっ?
っていうか、めちゃくちゃ速いーっ。
何度も後ろを振り返りながら、夏菜は更にスピードを上げた。
ほ、歩幅が違うし、幾ら私が鍛えてると言っても、社長とでは基礎体力が違うようなっ。
おまけに歩道に人がいるから、山より走りにくいしっ。
人様にご迷惑をおかけしてはと思い、夏菜は人が来るたび、軽いジョギング程度にスピードを落としていた。
このスピードを上げたり落したりが、走るテンポが狂って、なかなかきつい。
「夏菜ーっ」
と後ろから有生が叫んできた。
もう表情が見える位置まで有生は迫ってきている。
「なに? ドラマの撮影?」
と横を歩いていた若い女の子たちが振り返って言うのが聞こえてきた。
こ、こんなスピードで逃げてる恋愛ドラマありませんーっ。



