なにを持っていけばいいんだろうな?

 土曜日の朝、夏菜はカラのキャリーバッグを手に自分の荷物が置いてある物置のような小部屋で固まっていた。

 今は大広間で寝ているので、荷物はすべて此処に置いているのだが。

 そもそも、そんなに荷物がないし。

 ……洋服。

 化粧品。

 ……ぐらいかな。

 カサカサと詰めていると、
「夏菜」
と祖父、頼久の声が障子の向こうからした。

 はい、と振り向くと、頼久がひとりで現れ、いきなり床に正座する。

 おじいさま、此処、フローリングです。

 冷たいですよ、と思いながら、夏菜もその前に正座した。