今夜、あなたに復讐します

 おじさんに向かいナイフを向けた有生は、ゆっくりとおじさんに近づきながら言う。

「いいナイフだな……」

 おじさんは青ざめ、後退していく。

 これがミステリードラマなら、完全にあなたの方がちょっと気のおかしい犯人ですよ、
と有生を見ながら、夏菜は思う。

 おじさんの後ろにはもちろん、音もなく現れていた指月がいたのだが、そんなこともにも気づかぬように、おじさんは後退していっていた。

 というか、今、指月に気づいていたら、おそらく、助けて、とすがりついていたことだろう。

 指月は強いが、あくまでも冷静。

 だが、有生は、なにをするかわからない雰囲気がある。

「……おい。
 ナイフってのは、料理に使うものだぞ」

 そう言いながら、有生が薄く笑う。

 ひいいいいっ、とおじさんと夏菜は同時に叫んでいた。

 この人が料理しそうだ!
 このおじさんを!
と二人で怯える。

 殺しに来たはずなのに、おじさんの目には、助けてっ! と書いてあった。