休みで人が少ないから気をつけろって。
そこを狙って、社長を襲いに来る人がいるってことよね、と思いながら、夏菜は身構えていた。
一応、ボディガードだからだ。
おそらく、自分よりは、有生や黒木の方が強いとは思うが。
会社の玄関前のロータリーを回って車が停車したとき、なにかが柱の陰から飛び出してきた。
もうあの柱なくした方が、とも思ったが。
きっとみんなあそこから飛び出してくるので、逆にわかりやすくていいのだろう。
「おのれっ、御坂っ。
恥を知れっ」
と言いながら、また違うおじさんがナイフを手に突っ込んできた。
あなた、どれだけ恨まれてるんですか、と思いながら、有生をかばって前に出ようとしたが、逆に有生に突き飛ばされる。
冷たいコンクリートの上に転がりながら、夏菜は思っていた。
これではボディガードの意味がない。
そして、膝と手を派手にすりむいてしまった。
かばってもらった意味もあまりない。
そんなことを思いながら、すぐに立ち上がったときにはもう、有生の方がナイフをつかんでいた。



