今夜、あなたに復讐します

 いやまあ、雪丸も別に気を利かせて、ベラベラしゃべっているわけではないのだろうが。

「なにか話せ」

 沈黙に耐えかねたらしい有生が、窓の外を見たまま言ってきた。

 なにかって……

 なにか……

 そうですね。

「この間、厨房の引き出しを開けたら、ストイックバッグっていうのがあったんですよ。

 なにがストイックなんだろうな~と思って、よく見たら、ストックバッグでした」

「……お前、家事しないだろう」

 はあ、私が手出しすると怒られるのでしませんね、と夏菜は思っていた。

 それぞれ弟子たちの間で分担があるからだ。

 なので、ちょっとなにかを手伝うくらいしかしたことはない。

 出さないでくれと、加藤にもきつく言われている。

 たぶん、私に手を出されると、余計めんどくさいことになるからだろうな……とキビキビ動く道場の男たちを思い出していたとき、有生がなにか言いかけてやめた。

 またどうせ、なにか罵りの言葉なんだろうと思い、追求はしなかった。