気まずいんですが……。
黒木の迎えに来た車に二人並んで乗っていた。
電車で行く、と夏菜は言ったのだが。
「今日は休日出勤だし、人もそんなに来てないから、見咎《みとが》められることもないから大丈夫だ。
第一、婚約者で秘書なのに、別々に行くとかおかしいだろ」
と有生に言われて。
……いや、こういう状態になるとわかっとていたから断ったんですよ、と夏菜は思う。
普段からこの人と話すのは得意でないのに、結婚相手になられてしまうと、さらに得意でなくなってしまうではないですか。
有生もこの微妙な空気は感じ取っているようで、黙って窓の外を見ていたが。
雪丸と違って、黒木はそこで気を利かせて話題を振ってくれるようなタイプではない。
あくまでも安全運転に徹している。



