今夜、あなたに復讐します

「子どもの頃から、だいたい此処に住んでますけど。
 基本、此処はおじいちゃんちなんで、一応、親の家もあるんですよ。

 そっちにも部屋があるので、大きなものはみんな、そっちに置いてます」

 その言葉にふと思い出したように、
「そういえば、ご両親にもご挨拶せねばな」
と有生が言ってくる。

「まあ、ご挨拶はともかくとして、私もそろそろ親の顔が見てみたいです」

「親の顔が見てみたいって、普通、子どもになにか問題があるときに言うんじゃないのか」

「そういうあれじゃないですよ。
 って、そういう発想にすぐなるってことは、もしや、社長が、親の顔が見てみたいって思ってるんですかね? 私を見て」

「そうかもな」

「……私、なにか問題ありますか?」

「いろいろ、あるだろう」

 などと言い合っているうちに、黒木の車が待っている場所に着いていた。

 有生が山を振り返りながら言ってくる。

「朝から軽くトレーニングしたくらいの運動量だな。
 毎日、これ通ってたのか。

 強くなるわけだな」

「あー、まあ、仕事前にすでに疲れてるときありますね」
と言いながら、……ははは、と夏菜は笑った。