「親分、なにかご用事がありましたら、お命じください」
「いや、なにもないから」
嫌々ながらも、何故かなにか命じられたいらしい銀次と、なにも命じたくないらしい有生の会話を夏菜は聞いていた。
夕方、みんなで外の切り株型の椅子に座り、雪丸が薪を割るのを眺めていた。
時折、ちょっとぐらつくが、雪丸はそれなりサマになる感じでやっていた。
「……雪丸」
と有生が立ち上がる。
「ちょっと俺にもやらせろ」
「ええっ?
若がですか?」
と雪丸は笑う。
親分とか、若とか……と苦笑いする夏菜の横で、銀次がいじけていた。
「私より先に雪丸にお命じになるとかっ」
なんだろう。
あっという間に、社長を中心にこの家の中が回っているような。



