「何処か美味いものでも食べに行くか。
雪丸も」
と帰りの車で有生は言ったが、雪丸は、
「いやいや、遠慮しときます。
あなた方、庶民は気疲れしそうな店に行きそうなので」
と言って笑っている。
「私も結構食べちゃったので、デザート」
もういいです、と夏菜が言うと、有生は困った顔をした。
「お前と少し出かけてみようと思ったのに。
食事に行かないのなら、何処に行っていいかわからないだろ」
と言う。
「……まあ、そうですよね」
と思わず言うと、ははは、と雪丸が前を見たまま笑って言った。
「おふたりともデートとか慣れてないんですね」



