なんでしょう。
ドライバーが誰になるかで揉めて、私の結婚話は宙ぶらりんのままなんですが……、と思いながら、夏菜は有生と一緒に後部座席に乗っていた。
有生はまだ、
「雪丸、やっぱり俺が替わろう」
と往生際悪く夏菜の隣で言っている。
「いえいえ、社長に運転させるなんて。
夏菜お嬢様の旦那様になる人ですしねー」
と雪丸は機嫌よく運転していたが。
だが、雪丸の一般道での走りは、かなり丁寧だった。
「雪丸さん、運転上手いですね」
と夏菜が言うと、
「そうでしょう?
いや、優秀なレーサーは一般道でも優秀なんですよ」
と自分で言って笑っている。
ホッとしたらしい有生がチラとこちらを見た。
雪丸の騒動が収まったので、ようやくさっきの結婚話が気になり出したらしい。
「……本当のところ、なにかに操られるように、お前との結婚話を受けてしまっていたんだ」
有生は前を見たまま、そんなことを白状してくる。
「どうも先祖の因縁というのが、許嫁をとったとらないという話だったらしいから、先祖の因縁と怨念で、お前と結婚するよう、瞬間的に祟られたのかもしれない」
いや、祟られてるの、こっちなんですけど……。



