「お前と結婚しろとお前のおじいさんに言われた。
いや、俺は断ったんだが」
庭先でそんな言い訳を有生はしたが。
断りましたか? という目で雪丸と通りかかった加藤が見る。
「断りましたか? ほんとうに?」
と声に出して訊いてきたのは、斧を手にした銀次だった。
その今にも襲いかかってきそうな斧はなんだっ、と内心思っていたが、夏菜の手前、表情にも出せない。
「社長は断ったんじゃないんですか?
そして、押しつけられたんですよ、お宅のお嬢様を」
と言う声が広い庭の端の方からした。
ドライバーの制帽を被った黒木がいつの間にか立っていた。
相変わらず、目が据わっている。



