今もそのスリの銀次が物陰からこちらを見つめている。 スリだからだろうか……。 いや、バレバレだが、と思っていると、夏菜が、 「まだ早いですし、お茶でもいかがですか?」 と微笑み、言ってきた。 「いただこう」 とスリを横目に見ながら、有生は言う。