最後の罠を抜け、林を出たとき。
なんとなくゲームクリア後、エンディングが流れているような気持ちで見下ろした崖下にその屋敷が見えた。
指月が言った通り、
『大きな今にも遺産相続で殺人事件が起きそうな屋敷』だった。
しかも、いまどき茅葺の屋根じゃないか。
これ、葺き替えたら幾らかかるんだ、とかまどからか風呂からか煙の上がっているその屋敷を見る。
弟子総出でやるのだろうかな、と思ったそのとき、庭先からスナイパーのような目でこちらを見上げているマフィアがいた。
あの新幹線の男だ。
「……スリの銀次」
となんとなく呟いていた。



