ミセラさんに嘘は吐けないのは知っていたけれど、答えづらい質問をしてしまったと反省している。旦那さんは国のために亡くなった英雄の一人だったから。

「ありがとうございます」

「とてもお綺麗ですよ、エイミア様。召使いは皆、あなた様の意思とは違い王座に立つ事を望んでおられます。卑怯だと言われても、お思いになられても。我々の希望を無くさせないでくだされ」

「・・・ありがとうございます。行ってきます」

身支度が終わって部屋の外に出ると、長男が不適に笑って手を差し出してきた。自分が勝てば妻に迎えよう。笑顔がそう言っていた。
元々、物心付いてからずっと言っていたものね。自分が王になれば妻にしてやると。
王族や城の建つ街などではまだ近親婚が認められているから出来なくはない。けど、兄を異性として愛した事は一度もないのに結婚なんて嫌だな。