王なんて、国王になれなんて馬鹿馬鹿しい。やりたい人の中から素質のある人を選べば良い。なのに、どうして私を支持するんだか。何も出来ないのに。

「エイミア。これは一体どういう事?」

「あなた方は野菜を持ってこいとだけ仰いました。“新鮮な野菜”ではなく“野菜”とだけ。しかも自分の口から王族の名も語らず、お金も出さずに。どうせすぐ捨てるのですから国民に新鮮な野菜を回して何がいけないと言うのでしょう?」

今の母との会話は一週間前に遡る。次期国王の候補者である兄二人と私が全員15を過ぎたから誰に一番素質があるのか知るための試練を出してきたから。
国王に興味はないし、私は辞退しようと思ったんだけど女中や執事が乗り気で言い出しにくい雰囲気になってしまったがために続行しているだけだった。
最初の試練は一週間の内にどれだけの野菜を集める事が出来るか。両親は期間と量、王族の名を自ら語らない事、金銭を使わない事としか言わなかった。品質などの話には一切触れなかった。落ちようと思ってとか、わざと腐った物を持ってきた訳じゃない。そもそも、私の持ってきた野菜は一つも腐っていない。