犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 ルクマールが来て、私の両手を取ってぶんぶんと振りました。
 その後ろで、耳をペタンと伏せたバーヌの姿が見えます。あああ、やりすぎたでしょうか……。
「あれは、小麦粉でドロンドロンにとろみをつけた液体です」
「こ、小麦粉?」
 ルクマールさんが口をあんぐりさせました。
「はい。小麦粉を入れてどろどろのとろみをつけると、落としにくくなりますよね。へばりついて。しかも、作りたてて熱くて、冷めにくくていつまでも熱い。ドラゴンが熱さをどう感じるかは分かりませんが、少なくとも、人間ならやけどしますし、振り払おうと相当必死になる代物なので、少しはドラゴンも次の体制に移せないかなぁと思いまして」
 ううう。想像しただけで怖いですよ。
 小麦粉でどろどろの糊状にしたアツアツの液体というより個体でもなくて、なんていうんでしょう、それを顔にかけられたら……恐ろしいです。
「まさか、酒と、モモシシの血と小麦粉で……ドラゴンに勝っちまうとはなぁ……」
 ルクマールさんのつぶやきに、フィーネが反応した。
「え?ちょっと、何で勝ったって?どういうことなの?各方面に応援要請して、封印するために必要な話もつけて、必要物資を引っ提げて飛んで戻ってきたら……」
 フィーネさんがふらふらと、息絶えたナイトヘッドドラゴンへと近づいていきます。
「なんで、倒せちゃったわけ?だって、あんなの、SSS級よね?S級モンスターどころか、SSS級トリプルSよね?」
 同意を求めるように周りの冒険者たちに話かけています。
「トリプルならこっちにもいたしな」
 というルクマールさんの言葉に、フィーネさんが振り向いきました。
「違うでしょ、モンスターはA級なら、A級冒険者パーティーが倒せるって話で、A級冒険者一人いてもA級モンスターは倒せないわよね?」
 うーん、何を言っているのでしょうか。よくわかりませんけれど。
「一人じゃないですよ。ルクマールさんもバーヌも、それからA級冒険者B級冒険者の皆さん、それだけじゃありません。ここでテントを守っていた冒険者さん、怪我人の治療にあたっていた冒険者さん、街へと知らせに走ってくださった冒険者さんに……フィーネさんたちギルドの皆さんが力を合わせたんです」
 にこっと笑ってフィーネさんとルクマールさんの会話に割り込みます。