犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 ルクマールさんが樽を2つ。中身がこぼれないように蓋のない樽は、ほかの冒険者さんがルクマールさんの後ろについて運んだ。熱いのが入ったやつです。
 1番初めに投げてもらうやつです。
 どうか、成功しますように。
「作戦開始だ。3,2,1」
 一斉にA級B級冒険者さんたちのチームが首の気を引くための行動を起こす。そして、ルクマールさんが第一投。
 見事に、顔に当たりました。
 瞬間動きを止め、首を振りますが、残念ながら、水をぶっかけたときのようにすぐに復活しません。そのすきに、ルクマールさんは残りの2つの樽を投げました。
「いまだ、金狼!頼んだ!」
 樽が顔に被弾するのとほぼ同時にバーヌが
 首の付け根の内部に飛び込みました。すぐに剣を突き刺し、引き抜き、そしてぐるりと回って剣をナイトヘッドドラゴンを切りつけました。
 そう、刃が、いままで全く刺さらなかったのに、刺さるのです。
 首がうねうねと苦しみだしました。
 すぐにバーヌの元にルクマールさんも飛び込み、バーヌの持っているものよりも太くて大きな剣で、バーヌのつけた傷の上からさらに傷を深めていきます。
 そうして、一つ、また一つと、首の動きが止まっていきました。
「や、やったっ!」
 やった、やった!
 歓喜に皆が湧きたちます。
 思わず、近くにいた冒険者さんと抱き合って喜びを分かち合いま……分かち合おうとしたら、バーヌが飛んできて、冒険者さんをぽいっと押しのけました。
 ぎゅーっと、バーヌと喜びを分かち合うことになりました。
 ちょっと、ポイされた冒険者さんの顔色が悪いんですが……大丈夫でしょうか。バーヌ乱暴にポイしてないですよね?
 何はともあれ……。
「よかった、バーヌ、やったね。倒せた、無事に帰ってきた。……無事、だよね?バーヌ、痛いところない?」
 バーヌが私の肩に顔をうずめてじっとしています。
「バーヌ?」
「ふはー。エネルギーチャージ。ご主人さ」
 ポンっとバーヌの体を引き離し、肩をトンっと押す。
 ほっぺたぶにーはしません。ただ、冷たい目で見ます。
「ご主人様……」
 泣きそうな顔のバーヌ。
 だ、か、ら、ご主人様って言っても返事はしませんよ?
「すげーなっ!坊主、ああ、ユーキって言ったか、お前マジすげーな。あの一つ目の樽の中身なんだったんだ?」