犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 酔っ払いの首は、時々吐き出す針に気をつければ問題ないようです。針に対応するだけならば、C級冒険者の盾役でもなんとかなるそうです。
「ご主人様!申し訳ありません、ダンジョンからそとへちょにゃるぐす」
 どんな緊迫している場面だろうと、ご主人様呼びは許しません。
「ユーキ……ダンジョンから出てきました。危険ですから、街へ逃げてください。応援が到着すれば、僕の役割も終わります。2、3日で帰りますので」
「帰るってどこへ?ボクがどこか行っちゃったら、どこにいるのか分からないでしょう?家もないし」
 本当に帰ってきてくれるのでしょうか。
 生きて、私のところに。ずっと不安になって何日も過ごすなんて、私に耐えられるでしょうか。
「モモシシを狩ってきた、どうすればいい?」
 ふおう!ブルドックもふもふ3兄弟(勝手に命名)さんが戻ってきました。
「ユーキ、なんか嫌な匂いがする」
「は?え?」
 突然バーヌが不機嫌になりました。匂い?え?
「僕以外にそういう匂い……何でもない。僕は必ずユーキを探し出せるから、街へ」
「バーヌ、本当に駄目だと思ったらボクはちゃんと逃げるから。今はまだすることが残ってる」
 バーヌに背を向けて、モモシシの処理を頼む。
 必要な個所はレバーだ。解体はあとにしてとにかくレバーを取り出すようにお願いします。……さすがにちょっと、日本では丸ごと動物を料理する機会なんてないので……無理です。
 レバーを取り出してもらえば、後は調理だから大丈夫です。必要なものを出張ギルドへと運んでもらいます。
「すまなかった。ほかに何か必要であれば言ってくれ。今度はすぐに協力する」
 すれ違いざま、ギルドの職員さんが謝ってくれました。
 レバーフライの作り方を何人かに覚えてもらうために説明しながら調理します。すぐに覚えた人に作業をバトンタッチしました。
 バーヌはどこ?
 ナインヘッドドラゴンを見ます。
 バーヌは別の冒険者をかばいながら剣を振っているところでした。
 ターンと地を蹴ると、驚くことにバーヌは10mほど高く飛び上がります。そして、ドラゴンの首を踏み台にさらに高く飛び上がり、一つの首の眉間に剣を突き立てました。
 けれど、まるっきり剣は刃が立たないようです。
「眉間もだめか……」
 バーヌの悔しそうな顔が見えます。